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多発するコロナ便乗の詐欺に注意!  だましの常套句は「時間がない」
  新型コロナウイルスの流行で、収入や健康など、人々は様々な不安を抱いている。残念ながら、こうした情勢下には、不安につけ込んだ「詐欺」が増えるのが世の常だ。国民生活センターによれば、国内での感染が確認された1月以降、新型コロナに関する相談は1万件を超え、そのなかには悪質商法や詐欺と疑われるものが多く含まれているという。
 たとえばある女性は、市職員を名乗る男から電話があり、社会保険料の還付があると告げられた。「コロナが流行っているので市役所には来なくていい。ATMで手続きします」といわれ、女性は指示に従って100万円をだまし取られてしまった。また別の被害者は、町職員から「現金給付があるので金融機関を教えてほしい」との電話があり、金融機関の職員を名乗る別の電話にキャッシュカードの暗証番号を教えたという。さらにその後、別の男が「カードを作り替える」などの理由で被害者宅を訪れ、カードをだまし取るという複雑な手口でお金を取られた。
 警察や金融機関、あるいは税務署がキャッシュカードの暗証番号を電話などで聞くということは、実際にはあり得ない。しかし新型コロナウイルスの影響で収入が激減し、国による支援が遅れるなかで、わらにもすがりたい気持ちが詐欺被害につながってしまうという実情がある。また、こうした詐欺の電話では「申請期限がもう終わる」、「今日中に手続きをしないと間に合わない」など、時間のなさを装って冷静な判断能力を奪うのが常套手段となっている。
 こうした電話に対して少しでも怪しいと思ったら一度電話を切るのはもちろんのこと、仮に本当に役所などからの連絡であったとしても、一度「顧問税理士に相談して折り返し連絡します」と答える習慣をつけておくことが、詐欺被害の防止には役立つはずだ。詐欺ばかりは、いかに税理士が有能であろうとも、納税者本人が気を付けていなければ防ぐことはできない。また詐欺の被害は新型コロナウイルスによる売上減などと異なり、納税猶予などの救済手段の対象にもならないので、被害に遭ってしまうと泣き寝入りせざるを得ない。警察も実際にあった手口などを紹介して注意を呼び掛けているが、いたちごっこのように詐欺の手法はどんどん新しく、また高度化している。重ねて言うが、「自分だけは大丈夫」と思い込まず、不審な点がなくても必ず家族や顧問税理士、あるいは警察などに確認し、その上で周囲と相談して対応することが重要だ。