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賃金請求権が時効延長!未払賃金に注意  残業代の請求は3年、付加金は5年に
  賃金請求権の消滅時効が今年4月施行の改正民法で5年に延長されたことにともない、残業代を請求できる期間制限(時効)についても検討されてきたが、こちらについては当面は「3年」を落としどころとして、改正労働基準法が成立、施行した。一気に5年に延びることを危惧する中小企業団体からの要望が強く、経営者の多くはとりあえず安堵したのではないか。
 経営者が覚えておきたいのは、時効適用の時期だ。3年の時効は今年4月以降に支払われる賃金からが対象となるため、22年4月を過ぎないと2年分以上の残業代は請求できないことになる。つまり時効が3年になったその日(22年4月1日)に残業代を請求しても、19年の分は過去3年に遡って請求することはできないということだ。
 とはいえ、この改正で残業代などの「未払請求」という言葉の普及が進むのは確実で、未払請求訴訟を専門にする弁護士などはこれまで以上に活気付くものとみられる。働き方改革で労働時間に対する考えが変化してきているなか、企業の労務管理対策は不可欠だ。コロナ不況と相まって、残業代倒産などという言葉が現実味を帯びてきそうだ。
 なお、今回の改正にあたっては、労働者名簿や賃金台帳など労働関係の重要書類の保存期間は5年に延長されているので覚えておきたい。労基署の臨検などでは保管期間が指摘されることも多いので注意が必要だ。
 さらに、解雇予告手当、年次有給休暇中の賃金、休業手当、割増賃金の未払いにかかるペナルティーである「付加金」についても、請求権が5年に延長されている。割増賃金の請求権延長と合わせて、見逃してはならない改正点といえるだろう。