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案里元議員「5千万円もらい逃げ」  当選無効で歳費返還か
  自民党の下村博文政調会長は5月19日、歳費法の改正を検討するプロジェクトチーム(PT)を設置すると記者会見で表明した。公職選挙法違反で有罪となった河井案里元参院議員に歳費が支払われ続けていたことに批判が集中したことを受け、有罪判決などで失職した国会議員の歳費を返納できるよう法改正を検討するという。しかし、憲法や公職選挙法との整合性の観点から慎重に議論すべきだとの意見も上がっており、今国会での成立は見通せない。
 公職選挙法の買収の罪で有罪が確定した案里氏については、在職中に受け取った歳費の返還を求める声が国民から噴出している。案里氏は当選無効になったにもかかわらず、当選から辞職するまでに給与に当たる月104万円の「歳費」、ボーナスに当たる約310万円の「期末手当」など累計4942万円あまりを受け取ったとみられている。4月には広島県の住民らが「民主主義の根幹を揺るがす選挙法違反を犯して当選無効になったにもかかわらず歳費を受け取るのは不当利得だ」などと主張し、受け取った歳費を国に返還するよう求める訴えを東京地裁に提起した。ただ、現行の歳費法では国会議員は退職する日まで歳費を受けるとされ、返納に関する規定はない。
 自民党は近く作業チームを設けて具体的な検討をはじめる方針だ。公明党は今国会で法改正を行うべきだとして、選挙違反などの疑いで逮捕された場合、歳費の支払いを一時的に停止することや、有罪が確定して当選無効になった場合には、当選時まで遡って返納できるようにすることなどの改正を検討していくという。
 しかし、法案の取りまとめには時間がかかる見通しで、今国会での成立は難しいとみられている。公明党の石井啓一幹事長が5月7日の記者会見で「自主返納も公選法が禁じる『寄付行為』に該当してしまう問題がある」と指摘するなど、歳費について規定した憲法や、公選法などとの整合性の観点から慎重に議論すべきだという主張があるためだ。
 歳費法改正を検討する自民党のPTの座長は柴山昌彦幹事長代理が務めるという。なお、柴山氏は2016年、バスツアーを通じて有権者へ利益供与したとして公選法違反の疑惑が持ち上がった過去がある。