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税務調査のDX化  データ分析で脱税予備軍を抽出
   国税庁は6月11日、税務行政の今後のデジタル化についての見通しをまとめた文書を公表した。今回発表された「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―」は、2017年に公表した「税務行政の将来像」のアップデート版に当たるものだ。最新のテクノロジーとマイナンバー制度などを高度に組み合わせて、当局が「高リスク対象」と呼ぶ“脱税予備軍”を見つけ出すという。
 それによれば、「課税・徴収の効率化・高度化」については、全国民に割り振られたマイナンバー制度や法人番号を鍵として個人や企業の所得を紐付け、当局が保有する様々なデータをコンピューターにかけて深刻内容の誤りや齟齬を把握するとしている。例えば、勤務先が提出した源泉徴収票と、本人が行った確定申告の内容に違いがあるときには、マイナンバーによってその両者を照合することで差が発見できるという。
 さらに最新のIT技術を税務調査に活用する。本人からの申告内容や過去の調査事績、資料といった当局が保有する情報、さらに民間情報機関や外国政府から入手した膨大な個々のデータをコンピューターに入力し、分析にかける。ロジスティック回帰分析、決定木分析、クラスター分析、ネットワーク分析など様々な手法を用いて、ばらばらの状態の情報から隠れた関係を見つけ、脱税や所得隠しをしている可能性が高い納税者を発見する。例えば表向きにはつながりのない国内A社と国外B社の情報を分析することで、両者の代表A氏とB氏がそれぞれ無関係だとしても、両方に関与する別の納税者C氏を見つけるといったことができるようになるという。当局はこうした納税者を「高リスク対象」と呼び、専門のデータ活用担当部署で抽出し、効率的な税務調査につなげる狙いだ。
 そのほか、これまで書面で行っていた銀行への預貯金照会や資料要請をオンライン化することや、昨年から始めた大企業を対象とする「リモート税務調査」の拡大などが盛り込まれた。