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ウクライナ侵攻で進む円安  会社への影響は?
  不安定なウクライナ情勢の影響を受け、円安が進行している。4月19日の対ドルの円相場は一時期1ドル129円と、およそ20年ぶりの水準に達した。一部では5月の黄金週間明けにピークを打つとの見方もあるが、ウクライナ情勢がいまだ先が見えないなかでさらに円安が進行する可能性もある。
 円安は、国外との取引をする企業にどのような影響を及ぼすのか。為替相場の変動で生じる利益を「為替差益」、損失を「為替差損」と言うが、今回のように急激に円安が進んだ場合、輸出会社は為替差益によって得をし、輸入会社は為替差損で損をするということになる。例えば1ドル100円の時に海外から1千ドルの仕入れを行うとすると、円表示なので損益計算書に記載する仕入額は「10万円」だ。しかし代金を支払う時点で為替が1ドル150円になっていれば、現金として支出する額は10万円ではなく15万円になってしまう。差額の5万円は為替相場の変動による損失額ということだ。
 さらに円安の状況では、外貨建ての債権・債務の扱いにも気を払いたい。これらも税務申告の際には円表示に置き換えなくてはならないが、その換算方法は「発生時換算法」と「期末時換算法」のどちらかを選ぶことになる。複数の債権・債務について異なる換算方法を選択することはできないが、異なる外国通貨なら、異なる換算方法を選ぶことも可能だ。
 外貨建ての債権・債務は当然に円高や円安の影響を受けることとなるが、覚えておきたいのが、為替相場が著しく変動しているのであれば、すでに発生時換算法を選択していても、期末時換算法で簿価を付け替えることができるということだ。「著しい変動」の判断基準は、「(期末時の為替相場で換算した円貨の額−期末時の帳簿価額)/期末時の為替相場で換算した円貨の額」が15%以上になる状況を指す。
 注意点としては上記の計算時には、(1)期末時における実際の為替相場を採用し、平均相場を適用することはできない、(2)多数の外貨建債権・債務があるために個々の外貨建債権・債務ごとの割合の計算が困難なら、外貨の種類が同じ外貨建債権・債務ごとの合計額を基礎にして計算できる、(3)著しい変動に該当する外貨が2種類以上ある場合に、その一部についてだけ換算変更をすることはできない、(4)外貨建債権・債務の為替相場に著しい変動があったかどうかは、あくまでも帳簿価額と期末時の為替相場で換算した円貨の額との差で判断し、期中における最高騰時の為替相場と最下落時の為替相場との差や、期首時の為替相場と期末時の為替相場との差によって判断することはできない――ということも併せて覚えておきたい。
 円高・円安が外貨建の債権・債務へ与える影響は、おおむね債権が債務より多ければ、円高傾向なら期末時換算法、円安傾向なら発生時換算法が有利となる。反対に債務が債権より多ければ、円高傾向なら発生時換算法、円安傾向なら期末時換算法を選んだ方が良い。今回は円安なので、債権より債務が多い場合は、特例による期末時換算法への付替えを検討してもよいだろう。