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役職者だけの健康診断は損金にできず  「一定年齢以上」などの普遍的な条件を
  役員や社員にかかわらず同じ内容の健康診断を受けさせていた会社が、高齢化した経営陣が大病を患うと事業が立ちゆかなくなるリスクを踏まえ、通常の診断より詳しく調べてもらえる人間ドックを受けることにした。その費用は通常の診断より高額になるが、これを今までどおり全額損金としてよいのか。
 社員に受けさせる健康診断の費用は、原則として福利厚生費として全額を損金にできる。ただし、それはあくまで全員が同じ条件のもとで診断を受けられることが条件だ。一般の社員が受ける健康診断より高額な人間ドックを役員だけ受診するようなケースでは、その人間ドックの費用は役員への報酬とみなされ、福利厚生費には当たらない。このような特定の人だけを対象にした扱いは、その人に特別な経済的利益が発生するので、税務上は報酬を受けた時と同じ扱いになる。
 特別扱いをしていたとしても、相手が一般の社員であれば、本人には給与課税がされる一方、会社はその支出を損金にできるという点では変わらないかもしれない。だが相手が役員である場合、その支出は損金算入に厳しい条件が設けられている役員報酬となり、損金にもできなくなる。本人には所得税、会社には法人税が課されるという、いいところなしの結果だ。
 こうした事態を避けるためには、「一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができる」というように、ルールに普遍性を持たせることが重要だ。このルールであれば、対象者を選んでいるわけではなく平等と言えるので、費用を福利厚生費として損金にできる。結果として条件を満たせる人が役員ばかりになったとしても問題ない。