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サボると税金が高くなる年度末の棚卸し  過剰在庫で法人税負担増
   年度末には多くの会社が商品の棚卸しを行う。商売の規模によっては1日では終わらないこともあり、1年でもっとも忙しく残業が多い季節という会社もあるだろう。では、この大変な棚卸しは一体何のために行われているかをじっくり考えたことはあるだろうか。
 まず棚卸しの最大の目的は、言うまでもなく在庫数の確認だ。中小機構のホームページでは棚卸しの目的について、「期末在庫の数量・評価などを現実に把握するための唯一の手段」と説明している。また在庫の受払システムを持っているような会社にとっては、棚卸資産が実際に存在しているかを確認する意味もある。実際の在庫数が把握できれば、帳簿上の在庫数量の誤りが発見でき、それを修正して正確な利益の計算を行うことが可能となる。
 そして棚卸しを行うことには、余分な税金を支払わなくてよいようにするという目的もある。棚卸しを怠ると、正確な在庫数を把握できなくなってしまう。つまり「在庫を抱えすぎているから抑えよう」といった判断も正確に下せず、過剰在庫を抱えるリスクが上がる。そしてこの過剰在庫に、税金がかかるのだ。
 例えば商品を10個仕入れて、そのうち8個が売れたとき、仕入原価として計上できるのは売れた8個分だけだ。つまり在庫分は経費にできない。8個しか売れず、売上より仕入れにかかった金額のほうが多かったとしても、2個分を経費にできないせいで、会計上は利益が上がっているとされてしまう。在庫が残っていれば残っているほど法人税の負担は大きくなるわけで、街でよく見かける「年度末大売り出し」や「在庫処分セール」は、こうした過剰在庫を解消するために行われているわけだ。
 棚卸しを怠れば在庫数を把握できず、そうなれば今後の販売戦略も立てられず、税金も余分に取られることとなる。さらに利益の計算が正しくなければ税金の計算にも誤りが生まれ、税務調査で過少申告加算税などのペナルティーまで課されかねない。棚卸しは大変な作業だが、ミスなくしっかり行いたい。