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インボイス登録伸びず  免税事業者50万件どまり
   仕入税額控除をするため、消費税率ごとの税額や登録番号などを記載した請求書の発行が求められる「インボイス(適格請求書)制度」の導入まで約3カ月となった。東京商工リサーチによると、課税事業者からのインボイス登録は5月末時点で約316万件に達しているが、免税事業者は約50万件にとどまっている。
 インボイスに向けた課税事業者の登録件数は315万9235件(5月末時点)。政府の見立てでは約461万件の登録が見込まれる。しかし、2月の衆議院内閣委員会で政府側が「消費税は預かり税でない」と明言したため、登録の遅れにつながった可能性もありそうだ。
6月14日には、免税事業者が多い声優やアニメーターらの有志団体が主催するデモが、東京都など全国約20カ所であった。国会議事堂正門前ではデモ開始直後、共産党の志位和夫委員長がマイクを握った。「消費税の大増税をやろうって話で、絶対に許すわけにはいかない」と気勢を上げると、参加者は熱気を帯びた。
 インボイス制度の導入後は、インボイス登録をした事業者間の取引でなければ仕入税額控除ができない。インボイスの発行には、課税事業者への登録が必要だが、立場の弱い免税事業者に「登録しなければ取引を打ち切る」などと取引先から圧力があり、登録を強制されるケースなどが問題視されている。売り上げ1000万円以下であれば消費税の納税が免除されてきたが、登録すればその分の税負担が増す。
 同制度は、消費税率が2019年10月に10%に引き上げられた際、23年10月の導入が決まった。消費増税と同時に8%の軽減税率が設けられたため、複数税率下での正確な納税を目的としている。導入までの4年間は周知や準備期間で、導入後は26年10月まで税額の8割、29年10月まで5割を控除できる激変緩和措置などが設けられている。
 ただ、国会での政府説明は的を射ていない。野党議員に「今は適切な課税をしていないということか」と問われた鈴木俊一財務相が「より適切な課税をする」などと苦しい答弁をする場面もあった。課税当局は各地で説明会や相談会を開いているが、依然として登録をためらう個人事業主や免税事業者は少なくないとみられる。登録期限は当初3月末までだったが、9月末に延長されている。