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財務省 緊急対策の拡充で円高抑制へ  国内企業に低利でドル資金融資
  財務省は、円高対策として昨年夏に創設した「円高対応緊急対策」を拡充する方針だ。国内企業による海外企業の買収・合併(M&A)や資源獲得を促すことで、円高を抑制するのが目的。「筋のいい円高対策」として、政治サイドからの拡充要望も多く、財務省も悩ましさを抱える。
 緊急対策は、外国為替資金特別会計(外為特会)にたまった外貨準備であるドル資金を、政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)を通じて、低金利で国内企業に貸し出す枠組み。低利のドル資金融資をきっかけに、海外投資を決断すれば、企業は手持ちの円資金もドル資金に変えることになるため、円売り・ドル買いが行われて円高抑制効果を期待できる。
 同じ円高対策でも、為替介入や日銀による金融緩和に比べ、米欧諸国からの反発が少ないスマートな政策だが、原資となる外貨準備は、もともと財務省国際局の「虎の子」。かつては秘密のベールに包まれ、約100兆円の残高がありながら、現在も使い道の詳細は明らかにされていない。そうした経緯が、政治家の関心を引き寄せているようだ。
 今回の拡充の柱は、これまで「民業圧迫につながる」として排除されていた日本政策投資銀行(DBJ)の利用を可能にしたこと。DBJは地域の中堅・中小企業との取引が多く、利用が大企業に偏っている緊急対策の間口を広げるのが狙いだが、DBJ活用はもともと政治サイドからの要望。同じ政府系でも、国際局は庭先であるJBICとの関係を考え、財務・経済産業・国土交通系のDBJ活用に慎重だったが、景気対策の名の下、結局は押し切られた格好だ。