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審判所 子会社増資で注目裁決  「株価の回復可能性」どう見る
   業績が悪化した子会社に増資し、その直後の決算で同子会社株式の評価損を損金計上したケースについて、国税不服審判所は、損金計上を認めないとする裁決を下したことが分かった。争点となったのは、「株価の回復可能性が見込まれるかどうか」である。請求人A氏は、資産状態が悪化した外国子会社の株式について評価替えを行い、期末となる平成18年3月31日付で評価損を損金計上した。
 ところが、税務当局は「株価の回復可能性がないとは言えない」として法人税の更正処分を実施。これを不服としたA氏は「増資には業績回復に直結する経済効果はない」として審査請求を行った。
 同年1月に実施された同社の株主総会では、A氏が同年2月に200万ドル、翌事業年度となる同年7月に1千万ドルを出資することを可決しており、審判所は「すでに実行することが決定している事業計画がある場合、それらも考慮したうえで回復可能性を判断すべき」とし、「同社株式価額には回復可能性がないとは言えない」とした。
 また、「増資払い込み後相当期間を経過してなお業績が回復せず、むしろ悪化している場合にのみ評価損を計上する余地がある」ことを明らかにした法人税基本通達9−1−12に照らし合わせ、同年2月の増資払い込みから期末までに1カ月程度しか経過していない今回のケースでは、「事業年度終了時点で、増資による業績回復効果がないと判明したとは言えない」として評価損の計上を認めず、審査請求を棄却した。