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遺言の作成方法を選ぶ 確実性or簡便性 |
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遺言をマイナスイメージに捉える人に対して、相続案件のプロである税理士の中には家族を守る「前向きな準備」としてその必要性を説いている人は多い。確実な財産分配のためというが、本文以外の「付言事項」に自分の思いを記載したりビデオレターなどを併用したりすれば、ただの財産の分割を指示した文書以上に自分の思いを伝えることもできる。また最近は相続財産が少ない額ほど揉め事に発展する傾向にあるといい、相続争いは富裕層だけの問題ではなくなりつつあるようだ。
来年の相続税増税を控えて、遺言についても税務の知識同様に頭に入れておきたい。
まず遺言の作成方法には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がある。自筆証書遺言は、直筆で手軽に作成できる反面、誤字脱字などの不備があれば法的に無効になってしまうデメリットがある。メリットは極秘に作成できるため、何度でもこっそり書き直せる点だ。次に、一番確実といわれる公正証書遺言は公証人が関与するため不備は発生しない。原本も公証役場に保管されるため、盗難や書き換えの心配もない。難点は手数料や証人への謝礼などのコストの問題だ。秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証役場で作成され、保管もされるが、内容については秘密にできる。安全性はあるが内容自体に不備があれば無効になる点がデメリットだ。この3つの作成方法の中で、不備や盗難などのリスクはあっても手軽な自筆証書遺言が一番多く利用されているという。
また法定相続人以外に財産を譲りたい時は、遺言の中で「遺贈」とすることになるが、生前に相手に伝えておいた上で譲りたい場合であれば「死因贈与契約書」も効果的だ。税務に関しては、財産を譲り受けた人間は「贈与税」ではなく「相続税」が課税される。贈与税は、基礎控除は年間110万円であり、税率が50%になるのは1千万円を超えた場合なのに対し、相続税の基礎控除は現行で5千万円+(相続人の人数×1千万円)と贈与税より大きく、税率が50%になるのも相続財産が3億円を超えた場合で、比較をすれば税負担が少ない。
「遺贈」の良い点は相手の意思に関係なく単独行為ができること。ただし、遺贈の場合、相手が法定相続人だと相続財産に20 %が加算されてしまうことも留意しておきたい。
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