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障害者の税務  相続税の基礎控除額が引き上げ
  障害のある子どもを持つ親は、自分たちが亡き後の子どもの生活に不安を抱えている人も多い。社会保障だけに頼るだけでは心許なく、できる限り子どもの経済的な支えとなる財産を残してあげたいと思うものだ。
 今年1月から相続税の基礎控除額が引き下げられているなかで、85歳までの障害者に対する相続税の税額控除額は引き上げられていることに注目したい。平成25年度税制改正で見直され、控除額は1年につき10万円(特別障害者は20万円)となる。改正前は6万円(同12万円)だった。27年1月1日以後の相続または遺贈によって取得する財産の相続税から適用されている。
 障害者控除の対象となる障害者とは、「精神または身体に障害がある者」と政令などで定められた人で、さらに重度の障害がある場合は特別障害者とされる。
 障害者本人に対してさまざまな税務上の特例措置が認められている。たとえば、納税者本人が障害者である場合は、所得税控除は27万円(特別障害者は40万円)となっている。
 また障害者を対象にした信託に関する非課税措置もある。信託受益権である特別障害者1人につき6千万円(それ以外の障害者は3千万円)までの贈与税が非課税となる。これは「特定障害者扶養信託契約」に基づいた信託契約で、委託者である親族が、金銭や有価証券などの財産を信託会社または信託業務を行う金融機関(受託者)に信託することだ。
 信託会社などの受託者は、信託された財産を管理・運用し、受益者の生活費全般のために金銭を交付する仕組みだ。特例が適用されるためには、信託される日までに信託会社などを経由して「障害者非課税信託申告書」を納税地の税務署に提出することが必要だ。