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残業代ゼロ法案閣議決定  「朝型勤務」の企業が増加?
  政府は4月3日、労働基準法に関わる労働関連法の改正案を閣議決定した。労働時間ではなく成果によって賃金が決められる「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ法案)」で、高度な技術や知識を持つ専門職の、一定以上の年収(1075万円以上)の人が対象の新制度だ。一部の年収の人に対しては、「企業は残業代を支払う義務はない」と国が明確に言い渡したかたちだ。政府は来春の施行を目指す。
 現在、労働基準法では1日の労働時間について「休憩時間を除いて8時間」と定めており、労働組合と協定(三六協定)を結んだときに限り、従業員に残業をさせることができる。そしてその超えた時間には割増賃金の支払いが義務付けられている。
 賃金は労働時間に対する対価だが、経団連をはじめ財界では功績度に対する対価と考える人も多い。政府はこの「残業代ゼロ法案」を成長戦略の柱として据えており、「有能な人材の能力が最大限発揮できる環境が提供される」としている。
 同案が施行されれば、企業は大きな経費削減ができるというメリットがあるが、成果主義に走る企業が増えることや、サービス残業が横行して、うつ病や過労死が増加することが危惧されている。
 無償で残業させるという動きの一方で、社員の健康維持や職場環境の整備から残業禁止に積極的に取り組む企業も増えているようだ。長時間労働を禁止することで、業務効率化や社員のプライベートの充実など、さまざまな相乗効果が期待できるという。
 たとえば、伊藤忠商事では、20時以降の残業を原則禁止し、残業は翌日の「朝型勤務」に転換している。朝5〜8時の時間帯の時間帯に割増賃金を支給しており、さらにその間に始業すれば朝食が提供されるという。その他、子育て世代を対象に週の1日を5時半退社にする企業や、夏場を限定にサマータイム制を導入する企業などもある。残業代ゼロ制度を活用して利益を上げるか、そもそも残業のない企業体質をつくるか、経営者に選択が迫られそうだ。