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金融機関への監督強化  適切な評価に基づく融資促す
  金融庁は2015年12月に立ち上げた「金融仲介の改善に向けた検討会議」(座長=村本孜・成城大学社会イノベーション学部教授)の初会合の議事要旨をこのほど公表した。地域金融機関と融資先との意識のズレなどを指摘する厳しい意見が続出。金融庁は、企業の事業内容や成長性への適切な評価に基づく融資を促して地域を活性化するため、金融機関への監督を強化する方針だ。
 会議は、増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授や、冨山和彦・経営共創基盤代表取締役CEO、鹿児島銀行や山陰合同銀行で社外取締役を務める多胡秀人氏、国有化当時の足利銀行頭取を務めた池田憲人氏らで構成。初会合の議題は、地方創生や一億総活躍社会の実現に向けた金融機関の課題、金融行政の在り方などだった。
 委員らは「地域密着型金融のビジネスモデルを標榜しながら、矛盾する行動をとっている」「質の高い経営アドバイスより貸出増や商品販売に汲々としている」などの問題点を指摘。「融資先のオーナーから経営課題を聞いて答えられないと困るのであえて聞かないという地方銀行もある」との意見も出た。
 一方、会議では全国の地域金融機関の融資先1000社に対する金融庁ヒアリングの中間報告(318社)も示され、過半数の企業が担保や保証に頼った融資姿勢に「改善が見られない」と回答していることが報告された。銀行には自社や取引先の業界動向に関する情報を求めているのに、実際に提供されるのは世界経済や地域の情勢、金融商品の紹介などが多く、企業のニーズと乖離していることも示された。
 人口減少で将来的に収益基盤の先細りが懸念される地銀が少なくない中、金融庁は融資の金利競争に走る各行の姿勢を問題視。より事業の成長性を重視した柔軟な金融仲介への取り組み度合いを測るための数値指標を新たに作るなどし、融資姿勢の抜本的な転換を迫っていく考えだ。
 ただ、地域金融機関の中には「『かつてリスクを取って貸した銀行が不良債権問題で苦しんだ』という考えが染みついているところも少なくない」(金融庁幹部)。意識改革がどこまで進むかは予断を許さない。