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金融庁がフィンテックの本格研究開始  官民連携の有識者会議で議論
   金融とITを融合させた「フィンテック」への投資を加速するため、金融庁が官民連携での研究に乗り出した。日本では技術系人材と金融系人材の間の垣根が高いなどフィンテック関連へのベンチャー投資が米国と比べて進んでいないのが現状だ。具体的な課題を整理して、今後の環境整備の道筋を付けられるかが焦点となる。
 2016年5月に「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」を設置して検討を開始した。
フィンテックは「ファイナンス」と「テクノロジー」を合わせた造語で、決済や送金、資産運用などの領域で新技術を活用して新たなサービスを提供するもの。新興のIT企業が中心に取り組んでいて、海外ではM&Aも含めて多くの資金がフィンテックに流れている。米シリコンバレーでは、約4800平方キロの敷地に関係者が集結。年間1万7千社のベンチャー企業が創業し、大学などのサポートもあって起業への環境が整っている。
 ただ日本では、フィンテック絡みのベンチャー企業や投資会社が少ない。技術の担い手(研究者や技術者)とビジネスの担い手(企業など)との連携が進んでおらず、こうした動きが立ち後れているのが現状だ。有識者会議ではフィンテック・ベンチャーを活性化するための方法を検討、既存の金融業への影響についても議論する。
 有識者会議にはマサチューセッツ工科大メディアラボの伊藤穰一所長らが参加。伊藤氏は「会計やお金そのものを考え直す機会」と指摘。ほかの委員から規制の見直しを求める声も上がった。金融庁の森信親長官は「現行規制が前提としていないような金融イノベーションが出てくると思う。そうした動きに遅れない、先取りすることが大事」と強調。今後、どのような具体策につながるかが注目される。