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財政審分科会 「成長、再建の両立を」――菅財務相 |
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菅直人財務相は4月26日、昨年9月の政権交代以降休眠状態になっていた同相の諮問機関「財政制度等審議会」(財政審)の財政制度分科会を10カ月ぶりに再開した。会長には吉川洋東大教授を選任。さらに自民党政権時代に最大40人以上いた委員を学識経験者10人に絞り込み、経済、財政学の見地から諮問に答える専門家会合に衣替えした。
菅財務相は分科会の冒頭で、「経済成長と財政健全化は両立できる。その道筋を見いだす議論をぜひお願いしたい」と要請した。「増税しても、そのお金で政府が財政出動して雇用を生み出せば、景気は良くなる」というのが菅財務相の持論で、自らの持論の理論的裏付けを専門家に求めた格好だ。
菅財務相が持論にこだわる背景には、財源不足で増税にいずれ踏み切らざるを得ないとの判断の一方で、与党や国民の根強い反発をかわす狙いがある。衆院選マニフェストの実現のためには新たに10兆円を超える新規財源が必要だが、「無駄遣いの削減」による財源確保は期待通りには進んでいない。
さらに国と地方の公債残高はGDP(国内総生産)の2倍近くと先進国最悪水準で、「抜本的な歳入改革なしには市場の信認が得られない」(財務省幹部)という認識に菅財務相も傾いている。経済財政担当相も兼ねる菅財務相としては、デフレ脱却のためには「現状程度の財政(出動)規模は続けざるを得ない」(菅財務相)というジレンマもある。そこで「財政再建と成長は両立できる」という理論に飛び付いた格好だ。財政審は吉川教授ら経済・財政の一流学者ぞろいで、彼らの果たして「お墨付き」が得られるかどうか、議論が注目される。
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