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棚卸資産の売れ残り商品の「陳腐化」基準
  棚卸資産は、時価が下がったことで会社が評価替えによって価額を減らしたとしても、その減額分は基本的に損金に算入されない。なぜなら、その商品などを販売しない限り、価格下落による損失は発生しないためだ。
 ただし、会社の経営が傾いて民事再生手続きが決定されたときや、資産が「災害で著しく損傷したとき」、さらに「著しく陳腐化したとき」が、損金算入できる例外として挙げられている。
 倒産や災害は分かりやすいが、常に微妙な判断になるのが「陳腐化」だ。売れ残った季節商品で、今後は通常価格で販売できないことが明らかであるものなどがこれにあたる。ただ、例えばファッション衣料で、アパレル業界の人にしか分からない「流行遅れ」という判断だけでは、その商品が「著しく陳腐化した」と税務署に認められるのは難しい。商品に欠陥がないにもかかわらず、環境の変化などで価値が著しく減少し、その価値が今後回復しないと認められる状態にあることが、「著しく陳腐化」したことと認められる条件だ。
 季節商品といっても12月の季節モノであるクリスマスツリーなどは、翌年度も販売できるため、これに当たらない。極めて流行性の強い一過性な性質のある商品を指すので注意が必要だ。
 その判断は極めて抽象的であるため、納税者としては「なぜ陳腐化したといえるのか」を文書にしておくほうが無難だ。その商品の販売実績や価格の推移などは、他店の状況(チラシなど)も説得力を持つだろう。