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滞納残高18年連続で減少  公売で4億円分を売却
  国税庁はこのほど、1年間の活動やその年のトピックについてまとめたレポートの最新版を発表した。滞納されたままとなっている国税の「残高」は、ピークだった1998年の2兆8149億円から18年連続で減少し、2016年度には8971億円となっていることが分かった。
 国税の滞納額は14年度までゆるやかな減少傾向にあったが、15年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたタイミングで3割増加した。しかしそれに合わせるように、未納分の徴収などの処理を終えた「整理済額」も伸び、未整理額は17年連続の減少を達成している。
 滞納整理で差し押さえられた財産を売却するインターネット公売は、17年度に4回実施された。高級車や宝飾品、不動産など前年の2倍となる約800物件、4億円分を売却した。レポートは「ネット公売は利便性が高く、より多くの参加者を募ることができるため、差し押さえた財産の高価・有利な売却に役立っています」と成果を誇った。
 レポートでは適正・公平な課税徴収の課題として、国際的な取引への対応を挙げている。各国の税制の違いなどを利用した税逃れを防止するため、国外送金等調書や国外財産調書の提出など様々な施策を実施しているが、前年度から顕著な伸びを見せたのが、租税条約に基づく各国との情報交換制度だ。15年度までは情報交換件数は約300件で推移していたが、最新の16年度では738件と、一気に倍以上に増えている。18年4月時点で123カ国が70の租税条約を発効していて、今後ますます情報交換制度を活用した所得の捕捉が進むとみられる。
 なおレポートには国税庁長官の名前で「納税者の皆様へ」という前書きが置かれるのが通例だが、今年は佐川宣寿前長官が辞任して長官職が空席となっているため、「藤井健志国税庁長官心得」との名前が書かれている。