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支払額が変化する振替休日と代休の違い  代替休暇の略称ではない
   本来なら休日である日に従業員を働かせて、あらかじめ決めておいた日にその分の休みを取らせることを「振替休日」というが、意外と「代休」と混同して使われていることが多い。単なる言葉の使い間違いでは済まされず、支払う賃金が変わってくることもあるので違いをしっかりと覚えておきたい。
 休みの日に働かせたとしても、その分の休みを与えればプラマイゼロと考えたくもなるが、法律はそう簡単ではない。まず休日に働かせるということは労働基準法上35%の割増賃金が必要となる。残業代や深夜手当と同じ考えだ。これを「普通の日」と対等に交換してしまおうというのが「振替休日」の制度だ。振替休日とすれば、出勤した休日は割増賃金が不要になる。だが、振替休日でなく、単に「代わりの日に休ませた」というだけの「代休」とすれば、労働日は休日出勤となり35%の割増が必要になるという違いだ。
 振替休日か代休かを判断するポイントは事前予告にある。あらかじめ労働日を休日と交換しておくことで「振替休日」として認められる。
 代休日は「休んでいる日」なので賃金の支払いは発生しないものの、会社側としては、振替休日と比べて休日手当が必要な分だけ「損」ということになる。
 なお、労働日と同じ週に振替休日を設定すればその週の総労働時間は変わらないが、別の週に振り替えると総労働時間が増えるので、時間外手当としての割増賃金の支払いが必要となることに注意が必要だ。
 振替休日と代休の違いに付随して、もうひとつ気を付けたいのが「代替休暇」という制度だ。振替休日を略して一般的に「振休」と呼ぶことがあるため、代休は代替休暇の略称だと思いがちだが、これは全く別の制度だ。
 2010年度に施行された改正労働基準法では、1カ月60時間を超える時間外労働に対する法定割増賃金率を従前の「25%以上」から上乗せして「50%以上」に引き上げた。この上乗せ部分の割増賃金に代えて有給休暇を付与する仕組みが「代替休暇制度」だ。残業60時間超分を「カネ」か「休み」か、どちらで受けるかは、基本的に従業員の判断による。
 言葉の使い方ひとつで支払い賃金が増えることもあり、また場合によっては未払い賃金で訴えられることもある。しっかりとガードを固めたいところだ。