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新たな相続ルールがスタート 配偶者優遇が鮮明に |
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相続ルールの大幅な見直しを盛り込んだ改正民法が7月1日に施行された。相続ルールの見直しは約40年ぶりとなる。
改正民法で鮮明になっているのは、配偶者の優遇だ。スタートした新ルールでは、結婚して20年以上の夫婦であれば、生前贈与か遺贈された自宅や居住用土地は、遺産分割の対象から外せるようになった。従来は原則として、生前贈与された住居は遺産分割や遺留分減殺請求の対象となっていたものを、完全に配偶者だけの取り分とする見直しだ。分割対象から外れるということは、配偶者は自宅を得た上で、残された財産について「2分の1」という法定相続分を取得できるようになる。
仮に妻1人子1人で、夫が妻に2千万円の家を生前贈与し、預貯金2千万円が残ったとすると、以前は遺言などを残しておかない限り、妻は2千万円の家を贈与されているので預貯金は相続できないが、新制度では2千万円の家に加えて現金1千万円を相続できることになる。配偶者の取り分が大きく増加するわけで、税法では婚姻期間20年を超えた夫婦に対して2千万円までの不動産贈与を無税にする「おしどり特例」があるが、改正民法は民法版のおしどり特例と言えるだろう。
配偶者の相続分を巡っては、来年4月に、家に住み続ける権利だけを分離して相続できる「配偶者居住権」がスタートする。一連の配偶者優遇の見直しの背景には、13年9月に下された、結婚していない男女の子(婚外子)の相続分を結婚した夫婦の子の半分とする民法規定を違憲と判断した最高裁判決がある。判決を受け民法改正が行われた一方で、正妻の権利拡大が必要との声も上がり、今回の相続民法の大改正につながった経緯がある。
7月1日からは、遺産分割の結果に不満のある法定相続人が遺留分減殺請求をした時に、その対象を「相続財産そのもの」でなく「遺留分相当額の金銭」とする新ルールも始まった。今までは、自社株などが遺留分の対象になると全株式が共有化状態になってしまい、後継者が議決権などを自由に振るえず経営を阻害されるケースが生じていた。今後は先代から引き継いだ自社株が分散するリスクが減少するが、一方で遺留分に相当する金銭を他の相続人に支払わなければならず、まとまった現金を用意する必要となる。
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