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社員の誕生会を損金にする3つのポイント  プライバシーの扱いにも注意を
 
 従業員のメンタルケアや社内のモチベーションアップの一環として、最近は社員のサプライズ誕生会を行う会社があるそうだ。誕生日を迎えた社員が何も知らされずに会議室に呼び出されると、「ハッピーバースデイ」と書かれたホワイトボードがあって部署のみんなが祝ってくれたり、また出社するとデスクに小さプレゼントがあったりと、それぞれ工夫を凝らしているようだ。
 サプライズ誕生会を企画した経営者の多くが、自身のブログで「大成功!」などと写真とともに報告しており、おおむね好評のようだが、誕生日を祝われた側としては微妙な思いが残ることが多いようだ。
 まず、部署の全員に誕生日が知られてしまうプライバシーの問題や、べたべたした関係への“気持ち悪さ”を挙げる人は多い。「社員は家族だから」などと社長が思っても、昭和の時代ならいざ知らず、現代は社員も同じ感覚とは限らない。また、同じ社内といえども誕生日の公表は個人情報保護の観点から問題になる。良かれと思って開催しても、損害賠償などに発展することもあるので注意したい。
 さらに、誕生会に要した費用を福利厚生費として損金にするためにも交際費と判断されないよう配慮が必要だ。交際費等との区分のポイントは3つあり、まずは支出の目的が文字通り「福利・厚生」にあるかどうかだ。交際費の要件である「接待・供応」に類すると見られれば、交際費とは認められず、損金化に一定限度以上は制限がかかる。
 ふたつ目は、支出する相手が従業員全般であるということだ。営業成績の良い一定の従業員に絞ったものであれば、給与としての側面が強くなり、誕生日を祝ってもらった従業員は所得課税の対象になる。
 そして最後は支出額が福利厚生のために通常必要とされる額であるかどうかということだ。誕生日プレゼントの額について線引きはないが、「社会通念上、通常必要とされる額」かどうかで判断される。
 社員に嫌がられ、そして損金にもできないとなれば切ないものだ。社内の空気と税法をよく読んで取り組むようにしたい。