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国税がシオノギに敗訴  80億円の課税処分を取り消し
   海外子会社が絡んだ組織再編税制をめぐる裁判で、東京地裁は3月11日、製薬大手の塩野義製薬(大阪市)の請求を認め、大阪国税局が下した約80億円の課税処分の取り消しを命じる判決を下した。同社は2014年に、約400億円の申告漏れを指摘されていた。
 同社は英国の製薬会社にエイズウイルス(HIV)の治療薬をめぐる英国のヘルスケア会社との取引の過程で、保有していた共同出資会社の持ち分を、連結子会社に簿価の約130億円で譲渡し、税務申告した。しかしその後、子会社が持ち分を時価の約530億円で売却したところ、大阪国税局は差額約400億円を課税所得だと認定し、申告漏れを指摘した。
 同社は処分を不服として異議申し立てを行ったが棄却され、さらに15年3月に不服審判所に審査請求を求めたが、16年3月に棄却され、同9月に課税処分の取り消しを求めて提訴していた。
 連結子会社を含むグループ会社の税務を規定した組織再編税制では、海外同士の資産移転など一定の要件を満たしていれば子会社への簿価での資産移転を認めている。大阪国税局は塩野義の取引は適格要件を満たさず、持ち分を時価で評価すべきとしたが、同社は共同出資会社の資産は米国で管理されていたなどとして、「事前に国税当局に照会し、要件に当てはまるとの回答を得ていた」と主張していた。
 古田孝夫裁判長は判決で、共同出資会社の資産のうち現金は米国の預金口座に入金され、会計処理や税務申告も米国で行われていたと指摘。「主要な資産は国外で管理されていて、国税局の処分は違法」と結論付けた。
 判決を受けて塩野義製薬は、「当社の主張を全面的に認めた判決が出され、正当な判断をいただいた」とコメントした。